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アルマジロトカゲの2025年の繁殖

はじめに

2024年は飼育開始から10年の節目でしたが、自身のミスにより繁殖に失敗してしまいました。
しかし2025年は無事に繁殖させることができ、2年ぶりの成功となりました。

2024年のクーリング期間や、2025年のクーリング明けの様子については、こちらの記事をご参照ください。
2014年から飼育しているアルマジロトカゲですが、今回出産したメスにとってはこれが5回目の出産でした。
「殖やす」ということは飼育においての一つの目標・到達点であり、同じ環境にしたつもりでも、思い通りにはいきにくいものですね。

2023年の繁殖記録は怠慢により残していませんが、2022年の繁殖記録以降、1匹のメスしか交尾、繁殖まで誘導できない状況が続いており、これが今後の大きな課題となっています。

それはさておき、小さな命と出会うたびに、トカゲたちに元気に過ごしてもらえるように頑張らなきゃいけないな、と思い直す次第です。


2025年の繁殖結果の概要

出産日時:2025年8月20日 07:03 - 07:04

産子数:1匹

ベビーの体重:6.0g

今回の妊娠期間:最長172日、最短160日

交尾から出産までの詳細日数

  • 交尾1回目(3月01日)から:172日
  • 交尾2回目(3月03日)から:170日
  • 交尾3回目(3月10日)から:163日
  • 交尾4回目(3月13日)から:160日

後述する実績でも触れますが、交尾から出産までの期間はおよそ170日前後と判断できます。

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ベビーの体重はだいたいこの大きさで産まれてきます

室内平均気温:23.37 ℃

室内平均湿度:33.82 %

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妊娠後期は夏場に入り、昼夜の温湿度差が大きくなってくる

交尾から出産まで

出産までのメス個体1の体重推移

※スマートフォンから見ていて、表が見づらい場合はお手数ですが横持ちに切り替えてください

平時の体重が47~49gほどのメス個体1について、交尾以降の体重推移は以下の表の通りです。
7月からの測定頻度を見ると、繁殖への過剰な期待から測定回数が増えていることが分かります。

出産直前の体重が極端に増加しているのは、この個体が産前でもあまり食欲が落ちないことに加え、給餌直後に計測してしまったことが原因です。

測定条件が統一されておらず、収集するデータの信頼性が低下してしまうため、計測のタイミングや条件を統一しなければいけませんでした。

日付 体重(g) 備考
2025/02/09 47.0 クーリング明け直後
2025/03/15 49.5 交尾直後
2025/04/26 52.5
2025/05/18 52.5
2025/06/01 53.0
2025/07/06 56.5
2025/07/19 54.5
2025/07/26 54.5
2025/08/02 55.0
2025/08/09 57.5 最大体重
2025/08/22(出産後) 46.5 出産後

行動観察

デプレッサイワトカゲのような特徴的な行動を取るわけではありませんが、個体の性格も込みで考えても、全体的に隠れている時間が長くなっていく傾向にあります。
元々長時間バスキングをする種類ではないので、バスキングに関しては普段とそれほど変わりがありません。

見た目の変化

横幅ももちろん膨れますが、写真のように縦の幅に変化が出ているのが分かるかと思います。
体重を測定するときに、この縦のお腹の膨れ方も着目すると良いでしょう。

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左が平時(産後)、右が2025年7月19日の状態

出産の様子

このトカゲはある程度、フンをする場所が決まっています。
いつもと違う場所でいきんだり、身体をよじってその場でくるくると回り始めたりと、異変を察知しやすいです。
2023年は何時間も落ち着かない様子でしたが、2025年はソワソワし始めてから40分ほどで出産しました。


これまでの繁殖実績

飼育個体の情報

メス個体1(2014年から飼育)

  • 年齢:推定12歳(購入時の体形から1歳と見立てている)
  • 初回出産年:2018年
  • 総出産回数:5回(2025年時点)
  • 現在の平均体重:47g 前後
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長い付き合いのメス個体1、病院用にしっかり名前がついている

メス個体2(2015年から飼育)

  • 年齢:不明(顔の年期からもおばあちゃん個体かも…)
  • 初回出産年:2018年
  • 総出産回数:4回(2025年時点死産2回含む)
  • 平均体重:67g 前後
  • 特記事項:全体的に産む時期が不安定、2023年から発情時期が完全にズレて交尾を受け入れなくなる
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顔つきの硬さが違う、比較がなければオスと判定されそうながっしりしたメス個体2

年次・個体別の繁殖結果詳細データ

※スマートフォンから見ていて、表が見づらい場合はお手数ですが横持ちに切り替えてください

交尾確認日は複数回あった場合も初日を記載しています。

年次 個体 繁殖成否 交尾確認日 出産日 妊娠期間 産仔数 月齢
2018 メス個体1 - 未確認 未確認 - - -
2018 メス個体2 × 未確認 8月19日 不明 1(死産) 小潮
2019 メス個体1 未確認 8月17日 不明 1 大潮
2019 メス個体2 × 未確認 9月30日 不明 1(死産) 大潮
2020 メス個体1 × 2月4日 6月9日 126日 1(スラッグ排出) 大潮
2020 メス個体2 未確認 7月30日 不明 1 中潮
2021 メス個体1 未確認 7月30日 不明 1 中潮
2021 メス個体2 2月3日 7月03日 150日 1 小潮
2022 メス個体1 2月10日 8月15日 186日 1 大潮
2022 メス個体2 × 未確認 3月11日 不明 1(スラッグ排出) 小潮
2023 メス個体1 2月16日 8月13日 178日 1 若潮
2023 メス個体2 × 成立せず - - - -
2024 メス個体1 × 2月19日 8月25日 1(スラッグ排出) 中潮
2024 メス個体2 × 成立せず - - - -
2025 メス個体1 3月1日 8月20日 172日 1 若潮
2025 メス個体2 × 成立せず 3月23日 - - -

ベビーの記録

初給餌

産まれてから3日後に与えました。

給餌日:2025年8月23日

使用した餌:クロコオロギS

ベビーは粉末を気にして食べないことがあるので、カルシウムの添加は行わずに与えるほうが良いです。
実際には3回目の給餌には粉末OKになりました。

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最初の1匹は追いかけさせて餌と思わせれば、2匹目からピンセットで取るように

これまではすぐに隔離していましたが、2025CBは親個体と同居飼育しています。

今後の課題と展望

2024年の反省点

2024年の失敗についてですが、我が家では様々な餌昆虫以外にも、グラブパイ、レオパドライ、レオパゲルなど人工餌をかなり試してきました。
概ね食べてくれますが、中でもレオパドライの嗜好性が高く、デプレッサイワトカゲ共々よく食べています。

前置きとして、これらの人工餌には一切の否はありません
実際に平時の個体の生命維持には支障はなく(もちろん与えるバランスは考慮しますが)、問題は自身が勝手に過剰な期待と不安を抱き、「とにかく親個体が食べることを優先させる」という愚かな思考に執着しすぎたことです。

以前から分かっていたことですが、実際に今年もコオロギは食べないけれど、人工餌は食べるという場面をよく見かけました。
難しく考えず、今まで通りクロコオロギを淡々と与えていればよかったのに…。
恥ずかしながら、自身の焦りと親個体への過剰な心配、そして期待が招いた事態でした。

餌昆虫への反応が薄くても、ぐっと堪えてお腹が空くまで待つ
そんな余裕も必要です。
10年以上も飼育していながら、欲に勝てず、そんな基本的なことすらできない甘さを、トカゲに見抜かれたようでした。

メス個体2の体内時計のズレと今後の対応

年次・個体別の繁殖結果詳細データでも示した通り、メス個体2は不安定な繁殖サイクルを経ています。
遅くまで抱え込んで死産したり、正常に産んだ年も想定より早すぎたり、現在は交尾を受け入れず、3月にスラッグ(無精卵)を排出してしまっています。

このことから、メス個体2は現在のクーリング期間中から胎内で抱え始めていると見ています。

メス個体2の繁殖に向けた対応策:

  1. メス個体2のクーリング開始を早める
  2. オスとメス個体2のクーリングをしない
  3. メス個体2の繁殖を諦める

1. は現実的には難しく、ワインセラー等への収容という選択肢になってしまいます。

現在考えているのは、メス個体2はそのままにしておき、オスのクーリング開始を1か月ほど遅らせて様子を見るという方法です。
オスは秋口でもメスにアプローチすることが確認できているので、現状ではこの方法で様子を見るしかないと考えています。

メス個体2はそれなりの高齢個体でもあると思っているので、無理に繁殖を促すのではなく、より安全な方法で、個体の負担を最小限にしながら経過を観察していこうと思っています。

まとめ

2年ぶりにこのトカゲの繁殖を見ることが出来て、ホッとしました。
今年は飼育種双方がベビーを残してくれるという結果に辿り着くことが出来ました。

2016年からデプレッサイワトカゲ飼育を始めた頃からの念願が、トカゲたちと Twitter 時代から自分と仲良くしてくれる皆様に支えられて、9年の時を経てついに叶った形で感無量です。
いくら感謝しても恩返ししきれないので、他の誰かへ、こういった文章にすることで恩送りとして続けていこうと思います。

今年の年末からはアルマジロトカゲに関しては F1 世代のクーリングを開始します。
親個体たちに教えてもらったことを子世代に活かせるように、気持ちを新たにトカゲたちと暮らしていきたいですね。

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飼育を辞めようかと思ったこともあるけど、辞めなくて本当に良かった!

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