トゲトゲしっぽの飼育・繁殖記

アルマジロトカゲ、デプレッサイワトカゲの飼育・繁殖ブログです。

🦎 デプレッサイワトカゲの2024年の繁殖

はじめに

ようやく、自分の中でトカゲに関する目標をひとつ達成出来ました。
現在飼育しているペアは2代目のデプレッサイワトカゲ(E.depressa)になります。


まずは先代から。

先代デプレッサペア頭部、左がメス、右がオス。頭部ではあまり判断できない。
先代デプレッサペア、左がメス、右がオス。両方50g中盤を超えており、今にして思うと大きめ。

2019年から繁殖について考え始め、ずっとスラッグ続きで2021年にようやく交尾と至りましたが、交尾後もスラッグとなり、繁殖はうまくいっていませんでした。
このペアはオスがおとなしく、メスのほうが陽気な性格をしており、このあたりも多少は影響はあったのかなと思いますが、交尾には至っているので(とはいえ1度だけ)、そこまでの飼育方法に問題があったのかもしれません。
2016年08月より2匹ともベビーで購入、飼育していたのですが、先代ペアは2021年10月に死亡させてしまっていました。

トカゲはもう…と思っていましたが、 X(Twitter) の仲間の皆様の言葉に支えられたことと、どうしてもこのトカゲが好きで、手元に置いておきたくて、繁殖成功を諦めることが出来ませんでした。
強欲なものです。
ずっとお付き合い頂いているイワトカゲの情報を追いかけている仲間の方からこのペアはどうか、という情報はもらっていたのですが…。

2代目。2022年08月購入日、左がメス、右がオス。
オス個体。くりっとした瞳。
メス個体。先代と同じく少し白が入った頭部。

サイズ的には購入時は 20 g ほどだったため、生後1年未満の個体です。
先代飼育時には特に成長速度を気にしていなかったため、今回のCB個体で 20g はだいたいどのあたりだったのか、を逆算するつもりでいます。


ペアでの販売でしたが、先代と似た色味をしていたこと、直感的に自分の思った雌雄と、販売の表記が同じであったことから、 2022 年の 8 月の JRS でこのデプレッサペアを購入するに至りました。
それからじっくり1年半ほどかけて育て、2023年冬からクーリングに入れて、繁殖に取り組むことにしました。
そのため、(おそらく)3年目での繁殖となりました。


目次


2023年-2024年の状況

クーリングについて

飼育していたケージをそのまま家の最も寒い場所に移動して、無加温になります。
我が家の場合は、温度を少しずつ下げる/上げるといったことは行っておらず、突然寒いところに移動させます。
このあたりは人によること、お住いの地域にもよるところが大きいかと思いますので、一例とお考え下さい。
またトカゲに対するクーリングそのものについての意義についてはコチラに自身の考えがあります。

クーリングの期間

2023年12月02日から2024年02月04日までの64日間を設定しました。
期間については様々な調整する要素がありますが、今回は我が家の慣例通りとなります。
後述しますが、意義を考えると2023年12月前半が特に暖かかったため、2週間ほど後ろ倒しても良かったのだろうと思います。

オス個体、38.5g。
メス個体、45.0g。ちょっと太り気味。

最終給餌は2023年11月25日として、翌1週間を排泄確認時期としました。
数日前に確認した場所と同じところにいることもよくあり、ほとんど動くことなく過ごしていました。

2023年12月23日時点のメス個体。体重に変動は無い。いつもは素早いが、冷え切った身体ではロクに動けない。

クーリング中の動き

クーリング期間中は無給餌3日に1度の水のみ噴霧する形を取っています。
心配で個体に直接吹きかけることもありました。
それでも水を摂ることもほとんどなく、念のため安全確認で生死は確認はするものの、
身体は冷え切っており、カメラを仕掛けていたものの動体検知も動かずという状況でした。
先代は少し出てきたこともあったので、違いは光もあまり届かない暗所ということになります。

2023年-2024年の気温と湿度のグラフ

以下がクーリングした地点における気温と湿度の推移です。
64日間の平均気温は16.04℃、平均湿度は42.39%でした。
また最低気温は 2024年01月14日 08:45 10.0℃、2024年01月24日 18:25 10.0℃となっていました。

2023-2024年のクーリングしている場所の温度変化。12月前半が冷えているとは言い難い。

前述の通り、生体はほとんど動かなくなっていたので、十分低温だった、とも考えられますが、じゃあどこまでの低温に耐えられるのか?はこれだけだと判断ができません。
これより冷やす、という制御が難しいところですが、今年は暖冬だったこともあり(特に12月前半は暖かい)、引き続き、適切な気温については調査をしていきたい部分です。

クーリングの設備

先代とクーリングの条件はほとんど同じではありますが、2023年-2024年シーズンにかけては日中のメタハラの灯火をやめて、LED のみを点灯(アルマジロに引っ張られる形)するようにしていました。
この点灯時間は日の出日の入りに合わせていましたが、今年は 10:00 - 14:00 という短時間に設定しました。

基本の装備、実際はこのケージの下にデプレッサのケージがあり、二段積み。カメラの固定がローテク。

デプレッサの60ケージの上段にアルマジロの45ケージを乗せ、その上に LED という構成だったため、デプレッサのケージにはわずかながら光が届く程度だったので、このトカゲは一度オフの態勢に入ると光を求めてどうこうする、ということは無いのかもしれません。


クーリングからの立ち上げ

予定通り2024年02月04日に移動し、そこからは通常通りの飼育に戻しました。
わずかに体重が減少(0.5-1.5g)していましたが、想像の範囲内でした。
最初の給餌にはシルクワームを与えて、以後はこれまで食べていたマルベリックドライやレオパドライを与えたのですが、これに見向きもしないようになりました…。
仕方なくクロコオロギを与えたところ、追いかけながら食べるようになりました。
先代もそうだったのですが、ミルワームしか食べないようになったりと、クーリング明けに食性が変わってしまうことがある気がしますので、落ち着いて、様々な餌を試すようにしています。


2024年繁殖の結果

前年に分かっていたこと

まず前年2023年の05月05日にオスがメスを追いかけ、首筋に噛みつく姿を確認しました。
普段噛み合ったりするようなことは無かったので、雌雄はちゃんと揃っていそうだ、と実感出来ました。
当然、メスは卵を抱えているわけでもなく、スラッグの排出なども無かったため、メスの準備としては整っていない状態であったことも分かっていました。

2023年はこの1回だけで、これ以上オスが迫ることはありませんでした。

交尾

2024年02月20日から計5回(おそらく1回はうまく挿入されていない)を確認出来ました。
思っていたよりも複数回交尾を行うことが分かりました。
メスがちゃんと成立しやすいような場所に誘導しているようにも見えましたので、それを意識したレイアウト(=複雑にしすぎない)にしておくとより成功率は高まるかもしれません。

1. 2024年02月20日 14:13 至らず
2. 同日 14:50 交尾
3. 2024年02月21日 17:26
4. 2024年02月23日 13:02
5. 2024年02月25日 15:46
6. 2024年02月27日 12:40

出産までの経過について

よく言われているところではありますが、メスの行動に変化が見られるかと思います。
頭をなるべく高い位置に持っていき、尻尾を地面に向けるような態勢を取ったり、肩で(?)身体全体をわずかに持ち上げるような呼吸をすることがあります。
これは交尾と同様ですが、真っ平なレイアウトを組むより、シンプルかつ多少の高さを設けたレイアウトにしてあげると良いと思います。

先代ですが、分かりやすい姿勢。

先代のメスも同じ動きをしていたので、交尾が行われている/いないに関わらず取る行動なのではないかと思っています。
また、出産直前2週間ほどは食べることも無くなりました。

出産

2024年05月21日の 17:07 に1匹が 4.5g での出産となりました。
しっかりと頭側から出てきていますが、思いのほかスルリと出てきて驚きました。

産まれて1時間ほど経過したベビー。
ベビーの体重は4.5g。


この直前に2024年05月21日 16:28 にスラッグがひとつ、同日17:05にスラッグがひとつ出てきているため、計3つを抱えていたことになります。
最初に出したスラッグをメスが食べていることも確認出来ました。


普段あまり出てこないメスですが、朝からメスの落ち着きがなくケージ内をうろついたり、隠れる場所も特にないところで寝そべっていたりと、なんとなくいつもと違うということは分かっていました。

メスの体重は直前05/11計測の 49.0g から 40.5g まで減少しましたが、今は元気にしています。

8.5g減少してしまったメス。本当にお疲れさま。

最初の交尾が2024年02月20日だったので、約3か月、86日での出産ということになりました。
今回は1匹だったので、通常はおそらく3か月~ぐらいになるのかもしれません。


その後

ベビーは2024年05月26日にフンをして、2024年05月27日に初給餌を終えることが出来ました。
なんとか先代の命に、ほんの少し報いることが出来たと安堵の気持ちでいっぱいです。
元気なベビーと、生んでくれた母個体に感謝です。
また、来年に向けてベビーで新たな発見をして、無事に母個体が出産ができるように導いてあげたいと思います。